痛みに関する話題を綴った日記です。
m_chiro先生が、熊澤孝朗先生にインタビューされた時の記事です。
このインタビューは、以前にもブログにUPしましたが、最近読み直す事があり、新たな発見や再認識させられる部分が多々ありましたので、一部抜粋して、備忘録にしたいと思います。
臨床家はそういう患者の訴えがあったら、それをまともに受け止めるべきです。
それが痛みというものだと。
極端なことを言えば、患者が痛いと言えば痛いんだと。
そう思わねばならないですね。
慢性痛症においても、痛みがあれば人間は必ずそれを防御する姿勢をとる。
慢性痛症の場合は末梢に原因がない痛みですが、痛みを感じる部位は存在していて、それをプロテクトする。
変な姿勢を何週間も続けていれば、健常な人でも痛みが起こりますよね。
つまり、防御姿勢をとり続けるがために末梢組織に2次的な障害を起こして急性痛が発生してしまう。
こういう経過で慢性痛症の痛みと2次的に発生した急性痛とが混在しているわけです。
これらを鑑別して治療にあたることが重要ですね。
防御によって起こる痛みにも対処する必要があるし、鑑別する必要があります。
そういう現象に対しては医者には手が出ないことが多いですよね。
そこにコメディカルの働く場所がある。
慢性痛症の痛みでも、その患者さんはそこが痛いと思っていたのが、実はそれは防御姿勢が起こした痛みで、2次的に発生した痛み、つまり急性痛であることがあります。
これは、そこにある組織が障害を受けたことによって出た痛みであって、普通の生理的な痛みです。
まずはその痛みに対処することです。
そこから慢性痛症の治療が始まるわけです。
その2次的な痛み、そういう痛みを取り除くだけで、かなりの患者さんが痛みから逃れられる。
防御姿勢などによって増幅された痛みを取り除いてから、次に、慢性痛症の痛みを真っ当に慢性痛症として治療してもらう。
上記、青色のような概念が、痛みを診る側に欠落している訳です。
こう言う概念が普及すれば、手術適応になる病態は限りなく少なくなるはずです。
少なくとも、MPSと言う病態への理解が深まれば、救済される患者さんも増えるはずです。
カテゴリ:痛み痺れ
ebara / 2011年12月07日(水) 07:32
http://fibro.exblog.jp/15033764/
線維筋痛症を抜きにした腰痛の議論はナンセンス
線維筋痛症を知らなければそれよりも広い概念であり患者数の多い慢性広範痛症や慢性局所痛症は当然知りません。
ましてや中枢性過敏症候群は全く知りません。「腰痛にはストレスが関与している。」では不十分です。
日本以外の先進国では線維筋痛症は常識です。
下の図では、線維筋痛症、慢性広範痛症を合わせると12%になります。
8~9人に1人が、長引く痛みに苦しんでいると言うのに。。。
何故、日本整形外科学会は線維筋痛症を認めないのでしょうか?
原因不明と言われる腰痛85%の中に、線維筋痛症、慢性広範痛症、慢性局所痛症の患者さんが数多く居るのは、容易に想像できそうですね。
カテゴリ:痛み痺れ
ebara / 2011年12月02日(金) 08:02
脊柱管狭窄症と言う診断を、複数の病院で受けておられる高齢の患者さんが、隣県から通院してくださっています。
6年ほど前から、100メートルも歩くと脚が痺れて休まなければいけない。
間欠性跛行と呼ばれる病態です。
脊柱管狭窄症と診断されてからも、何度もギックリ腰になり、病院に行くたびに手術を勧められるそうです。
最近では、体位を変えようとすると、脚が攣り激痛が走るそうです。
治療中に、触察しようと他動的に脚を動かす時にも、何度も攣るのでなかなか治療が進みませんでした。
あれだけ激痛で攣った脚が嘘のように攣らなくなった。
恐くてまだ長い距離は歩いていないが、週末は立ち仕事も楽にこなせて、自分の脚ではないように軽い。
長時間の座位などでも脚が痺れたが痺れ無くなった。
二回施術が終わった時点での感想をいただきました。
この方の症例を通して感じる事は、改めて、腰下肢痛の原因が脊柱管狭窄症で起こると言う説への大いなる疑問。
腰痛の85%が原因不明で、心理社会的要因と言う事で処理してよいのかと言う疑問です。
先日のブログ記事、腰痛の大半が心理社会的要因によるもの?にも書いていますが、こんな単純な治療をたった二回
行っただけで、長年の痛みがこれだけ良くなるのなら、構造破綻モデル、心理社会的要因、両極端と
も言える考え以外に、もっと他に何かあると気付かなければいけないのではないでしょうか?
救済される患者さんは一向に減らないどころか、逆に増えてしまうのではないかと危惧してしまいます。
カテゴリ:鍼灸
ebara / 2011年11月24日(木) 08:51
80代の女性の患者さんが、数日前にトイレで長時間いきんでから、座ると足が痺れて仕方がないと言って来院されました。
ここまでは、何も珍しくないのですが、この患者さんは、私の悪い所はここです!と左右の大殿筋の上縁部を押さえて示して下さります。
ここが張って来ると足が痺れますと仰ります。
大殿筋の上縁部の索状硬結を丁寧に触察すると、患者さんが、あ~そこ!そこ!と言って反応されます。
リリースすると、あ~楽になったと言って帰っていかれました。
この患者さんは、トリガーポイントや関連痛の知識はないはずです。
少し不思議な症例でしたが、こんな患者さんばかりなら、手っ取り早いですね。
カテゴリ:鍼灸
ebara / 2011年11月18日(金) 08:52
腰痛のナゼとナゾを取り寄せました。
菊池臣一学長が書かれた本にしては安価です。
表紙を見てもも素人向けの本のようです。
読み終わり次第、院の貸出本に追加します。
カテゴリ:読書
ebara / 2011年09月07日(水) 08:20
トリガーポイント式チャート
私は患者さんに分かりやすいように、トリガーポイント式チャートを使います。
他にもトリガーポイント関連の書物を何冊か持っていますが、痛みはトリガーポイントだけで語れません。
トリガーポイント療法も、色んな書物に記載されている、トリガーポイントの関連痛パターンは参考にはなるのですが、それだけでに頼っていては不十分かもしれません。
http://mchiro.exblog.jp/14468586
特に、近年出て来た慢性痛症と言う病を治療していくには、一つだけの治療方法だけでカバーするのは難しいでしょう。
しかし、多くの場合トリガーポイント療法を有効に使えば、かなりの効果があげらるのも事実です。
私も、TP療法については初学者ですから、まだまだ手探りでやっている部分があります。
多裂筋、腰腸肋筋などの脊柱起立筋群を押さえて下肢まで関連痛が出る場合は、その奥にある大腰筋への刺激で下肢に関連痛が出ているのかもしれません。
このような場合は、どのような動作で痛みが出るのか?
そして、体位を変えて大腰筋を触察しても関連痛が出るのか?
また筋肉の状態はどうか?
など総合的に判断して罹患筋を探っていきます。
ただ、罹患期間が長い場合など、単独の筋肉だけが悪いと言う事はないでしょから、少しづつ片づけていくしかありません。
トリガーポイントの関連痛パターンだけでなく、動作時痛や触診から得られる情報をフル活用する事で、やみくもに治療するよりは遥かに効率的よく治療ができるように思います。
・江原鍼灸整骨院.
・京都市中京区西ノ京御輿ケ岡町10番地
・電話 075-463-8639
・営業時間 9:00~12:00 16:00~19:00(水・土 午前中)
カテゴリ:鍼灸
ebara / 2011年08月20日(土) 16:00
腰痛の原因は85%は原因不明と言われています。
MPSと言う病態が理解されれば、85%の多くは解決できるかもしれません。
かと言って、トリガーポイントだけでも説明できませんが、何か参考になればと買ってみました。
カテゴリ:読書
ebara / 2011年08月18日(木) 07:56
以前にも、正坐の時の痺れについて下の記事の中に記載しています。
http://www.ebara-acupuncture.com/archives/1415
神経障害における抹消性の過敏化
昨日、紹介した伊藤和憲先生が書かれた、痛み・鎮痛の基本としくみの中に、わかりやすく書かれています。
http://www.ebara-acupuncture.com/archives/1921
痛み・鎮痛の基本としくみ
P44引用開始
しびれを感じているとき、同時に痛みを感じることが多いことに気がつきます。
それは、なぜでしょう?
正座のあとのしびれを例に考えてみましょう。
神経はもともと神経細胞の細胞膜にあるポンプを使い、細胞内と細胞外の物質濃度を変化させることで電気を発生させています。
正座で神経線維が圧迫を受けると、神経に栄養を送っている血管も同時に圧迫されるため、一時的に神経細胞に栄養が送れなくなります。
すると。
神経細胞のエネルギー源であるATPの合成が妨げられて細胞内外の物質濃度を調整することができなくなり、電流の発生が抑制され、感覚が消失します。
一方、正座から立ち上がると、今まで圧迫されていた血管に再び血液が送られ、神経がATPを合成できるようになります。
その結果、神経細胞が正常化し、細胞内と細胞外の濃度を元に戻そうとしますが、濃度の差が著しいため、それを正常化しようとポンプが頻回に作動して濃度を調整します。
しかし、濃度が調整されるたびに電気が発生されるため、神経はかなりの頻度で異常興奮をおこし、しびれや痛みが起こるのです。
P44 引用終わり
小山なつ先生も、伊藤和憲先生も著書の中で書かれていると言う事は、生理学的な事実として、このような現象は起こるのでしょう。
では、この現象を椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症に当てはめる事が出来るのでしょうか?
ヘルニアの場合は、圧迫だけで起こるのではなく、神経根の炎症と考えられるようですから、上記のようなメカニズムとは違うように思えます。
脊柱管狭窄症は、骨性の神経圧迫、神経を栄養する血管の圧迫と考えられますが、何故か歩いていて痛みが出ても前屈すると瞬時に痛みは楽になる。
自転車ならどこまででも行ける。
にも関わらず、神経の圧迫を取り除く手術をしても、成績は芳しくない。
これまた、まったく違うように感じます。
文中にあるような圧迫が永続的に起これば、神経にダメージは起こるでしょう。
電流の発生が抑制され、感覚が消失します。
つまり、麻痺の事ですね。
様子を見ましょう。
とか悠長なことを言っている場合ではありません。
このような場合は、早く圧迫を取り除かないといけません。
もちろん、痛みはまだまだ分からない事だらけです。
しかし、ありふれた筋痛と言う病態が、痛みを診る者の多くの頭の中から欠落しているのは、事実ですね。
カテゴリ:痛み痺れ
ebara / 2011年07月05日(火) 15:10
明治国際医療大学の伊藤和憲先生が、痛み・鎮痛の基本としくみ。と言う本を書かれましたので、購入しました。
まだ読んでいませんが、伊藤先生は、トリガーポイントの研究者で、トリガーポイント関連の本も出されています。
この本は、大きな図が多くて読みやすいと思います。
まだまだ、痛みの事はわからない事だらけですが、筋痛と言うありふれた概念が欠落しているのは事実です。
私も、患者さんに痛みについて興味を持ってもらえるように、少しでも、分かりやすく説明できるように心がけたいものです。
カテゴリ:読書
ebara / 2011年07月04日(月) 13:06