硬式野球部のピッチャーが、肩の痛みで来院されました。ボールを投げるときに肩が痛い。
多くの場合は、問診すると、上記のような答えしか返って来ません。実際に、投球動作をしてもらい、どのようにした時に痛みが出るか再現してもらいます。
http://www.zamst.jp/tetsujin/ask/01_medical.html
スポーツの鉄人に聞け! – 鉄人に聞け!|野球肩|メディカル編
を参考にさせてもらうと、コッキング期から加速期に入る手前から痛みが出ます。その他の、肩の外転、前方挙上では痛みはでません。腋下の上辺りは、三角筋の下に、複数の筋肉があります。
筋肉のつき方は人によって差がありますし、同じ人間でも左右でボリュームが違ったりしますから、明確に、一つの筋を同定するのが難しい事があります。腋下の治療後、肩を動かして貰うと随分楽になったと言う答えでした。
あるコミュニティーで、タイムリーな話題があがっていたので、上腕三頭筋の肘頭付着部付近を探ると、腱の外側に感作部分があったので、ここも処置して再度動かして貰いました。
結果、痛みが10→0になりました。
症状はなくても、罹患筋と思われる筋肉の反対側を治療して、すっきり行ったケースです。
三角筋の後ろ側
上の三角筋をはがすと下のような複数の筋肉があります。
50歳代の男性の患者さんが、首から左肩~上肢にかけての痛みと痺れを訴えて来院されたのが、今月初めの事でした。
首を後屈すると、首から上肢にかけて強烈な痛みが起こる。安静にしていれば、痺れが気になって仕方がない。神経学的検査という位置付け? の、ジャクソン、スパーリング検査では陽性になります。肩のほうは、動かしても、特に痛みが誘発される事もなく、可動域の制限もありません。
深部反射 筋力検査 触圧覚 筋の萎縮 etc ひと通り診ましたが、除外しなければいけないような疾患はありません。この患者さんを紹介してくださったのは、数年に一回腰が痛くなれば来院される患者さんで、その患者さんの身近な身内には、名の通った整形外科の開業医がおられます。その方も、すべり症による座骨神経痛で、手術が必要と身内の病院で診断されて、私の院に来られた記憶があるので、鮮明に思い出す事が出来ました。
痛みを長く放置していたそうで、最長筋、肩甲挙筋 後斜角筋 僧帽筋の上部 小胸筋が悪くなっていました。現時点で、首を動かす事は問題なく出来るように回復しました。若干、腕の痺れが残っている状態ですが、この患者さんが訴える症状は、MPSと言う病態で間違いなさそうです。(あくまで、診断ではなく判断です。)
いずれにしても、痛みを放置しないことが重要です。
いつも、右脚の腰下肢痛で、年1~2回来院される60歳代の男性の患者さん。今回は、左肩の痛みで来院されました。
二週間くらい前から、何をしたと言う訳でもなく痛みだし、外転時痛が激しくなり、夜間痛みで起きる。首まで回らなくなったと言う事でした。いたるところに感作部位がありますから、広めにカバーしておきます。それだけで、取れてしまう場合も多いものです。
腰下肢痛は、医師には骨の棘が神経に触れているから、すっきりさすには手術しかないと言われておられていましたが、最近は調子も良く、ハードに作業をこなしても痛まなくなったそうです。結局、MPSと考え治療したほうがよいケースですね。ただし、患者さんの頭の中には、MPSと言う概念は全くありません。
この患者さんが訴えられていた、腰下肢痛が、鍼治療で良くなったのか?ほったらかしでも良くなったのか?それは、私にもわかりませんが、女性が行うお顔のピ-リングは、一旦組織を破壊して、あらたな組織に置き換えてあげるようです。
私が行う鍼治療も、悪い部分を破壊して感作構造を潰し、新たな組織に置き換えてあげようと言う考えも取り入れていますから、やみくもに鍼をするのではなく、治療する筋肉をしっかり厳選して行います。巷では、トリガーポイント鍼は痛いとも耳にしますが、私は、鍼の痛みを我慢させてまで行うような、乱暴なやり方はいたしません。
高校野球部の生徒が、牽制の際、帰塁しようとした時に右肩を捻り、痛みで肩があがりにくく、ボールが投げられないと言って来院されました。
ジャイアンツの阿部選手も、同じようなプレーで日本シリーズを棒に振っています。
投球動作は一般的に四つに分類されます。
ワインドアップ期
コッキング期
加速期
リリース減速期
この生徒の訴えでは、コッキング期で、肩関節の後面に痛みが誘発されますから、 肩の外旋が強調されて肩後方の三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋のトラブルを第一に疑ってみました。
当たり障りなくRICEの処置で様子を見るのが普通かもしれませんが、秋の新人戦の日程も決まっていて、なんとかして欲しいと駆け込んできたわけですから、私としては、出来るだけそれに応えてあげたいものです。
先程、ピックアップした筋肉に鍼をしながら、少し肩を動かして(運動鍼)、また鍼の位置を変え動かしを数回繰り返しました。
直後は、痛みがほぼゼロになったので、注意点を指導して終了しました。治療時間は、10分足らずです。もちろん、損傷の程度によっては、手術や固定が必要です。
このような簡単な治療で痛みがなくなる訳ですから、大きな組織の損傷は考えられないでしょうから、固定も必要ないと判断しました。
約1ケ月前に、お風呂屋さんで足を滑らせて尻もちをついた時に、軽く首に違和感を覚え、そのうち治るだろうと放置している間に、就寝中首から左の上肢、肩甲骨周りの痛みで何度も目が覚めるようになり、叔母の介護で腕を使う時などにも激しい痛みで耐えられなくなり、来院された60歳代女性の患者さん。
動作としては外転時痛が一番顕著でが、肩関節の可動域は確保されています。市販の湿布薬が隙間なく貼られていて、見ているだけでも痛々しく感じます。
僧帽筋の上部に鋭い圧痛があり、首、肩周りの過敏性が上がっていましたので、細い鍼で置鍼をして軽めの刺激で過敏性を解除するようにした後に、罹患筋となっていると思われる筋肉に単刺。肩の夜間痛は、私の拙い経験では、斜角筋のトラブルが多いように感じます。施術後は、随分楽になったと言ってお帰りになりました。
これを機によくなるのか?しばらく繰り返すのか?それは、治療をしているこちらにも分かりません。
その場合は、尻もちをついたのが受傷帰点ですから、仙腸関節などのトラブルも考慮して、治療方針を見直す必要があるかもしれません。いずれにしても、痛みは我慢して良い結果をもたらす事はありませんね。
痛み学ー臨床のためのテキストにも、確固たるEBMは存在しませんが、早期に痛みを解除することは重要であると記述されています。
追記
二回目の治療に来られた時に経過をお聞きしました。
随分痛みが楽になり、治療する前は痛みで何度も目が覚めたが、治療後は目が覚める事もなく、ぐっすり眠れる事ができたと言う事でした。左の仙腸関節に可動性の減少がありましたので、アジャストして様子をみて貰う事にしました。
追記
三回目の治療に来られました。
痛みが全くないと言ってよい程の状態だそうです。トリガーポイント鍼治療は、初回の一回しかしていません、その後は罹患筋を絞って徒手で処理しました。
・痛みの体験記
・ブログを書く理由
・こんな症状の方が来院
・トリガーポイント療法専門院の江原鍼灸整骨院.ホームページ
・京都市中京区西ノ京御輿岡町10番地
(JR円町駅を北へ徒歩5分。島津アリーナ京都を南へ100メートル。)
円町、大将軍、白梅町、等持院、花園、西ノ京、太秦、鳴滝、宇多野方面からもすぐです。
・診療時間 9:00~19:30(水・土 午前中のみ)
・定休日 日曜日 祭日
・電話 075-463-8639
・「ホームページをみて…」とお電話ください
70歳代の男性の患者さん。
この10ケ月の間で、軽い脳梗塞、顔面神経麻痺で二度の入院。主訴は脳梗塞で悪くなったほうとは反対の左肩の猛烈な痛みで、処方される痛み止めの薬も殆ど効果がない。
話を聞くと主訴は脳梗塞を患った後、去年の11月くらいから痛くなり、その間、病院でリハビリを週2~3回継続して受けていたそうでが、全くと言ってよい程効果が見られないので、1週間位前から治療にお見えになっています。左肩は拘縮が酷く、体幹から40度程くらいしか外転できない。他の動作も大きく制限されている。
いわゆるインピンジメント症候群+MPSと言うような病態でしょう。左肩の痛みは、脳梗塞で悪くなった方の手をかばっていたからか?
大きな病気を二回もして辛い思いもしたが、しかし周りには痛みや病気を理解されないストレスか?
痛みには色んな事が複雑に絡みあうものですから、単一的な原因を指摘はできない方が多いものであるが、患者さんが訴える痛みに耳を傾けて、理解してあげるだけでも患者さんは救われる事も多いものである。
肩の痛みは夜間痛も酷く、夜中に何度も目が覚める。肩周りは過敏性が増して、少し触るだけで痛みを訴えられる。話によると烏口突起付近から、関節内に注射針を入れ、針をグリグリ回しながら行う注射を3回したが、全く効果がなかったそうです。あまりの痛い注射に二度と注射は御免だと仰ります。
鍼も、注射のイメージが強く頑なに拒否されていましたが、あまりにも痛そうなので、徒手治療では効果が薄いと判断して、なんとか説得して一度だけ鍼治療を施しました。置鍼を10分くらいしていると、肩の痛みが指先まで広がり同じ姿勢が苦痛になってきたので、抜鍼。いわゆる五十肩では、同じ姿勢をしていると辛くなると言うのはよくある事です。その後、鍼をしたところを丁寧に徒手治療を加えました。
その日は、夕方まで鍼をした跡が少し痛かったが、その後は痛みがスーッと消えて夜間痛で目を覚ます事もなかったそうです。
今は初見時の肩の過敏性も無く、夜間痛で目が覚める事もなく、徒手での治療後は夕方まで楽に過ごせるそうです。最初の鍼の効果は今も持続しているように思えます。
私の個人的な見解では、インピンジメント症候群は構造の問題と言うよりも、どちらかと言えば棘下筋がうまく機能していない問題の方が大きいように思えます。
運動連鎖から、罹患筋を割り出して、単純な治療を加えただけで、効果があった訳だから痛みの本態はMPSと言えるでしょう。
左肩が痛いと言う60歳代の女性の患者さん。
前方挙上していくときに左肩に痛みがでるが、どこが痛いと厳密には言えないようである。仰臥位で寝てもらい、重力を出来るだ排除しても痛みに変化は見られない。夜間痛や関節の可動域に制限はない。
最近は、重心を考えて治療をしているので、頭位が重心より前に来る場合は、身体の前面を触る事が多いです。
この女性は、この1年間で2回お腹の開腹手術をされている。
膜の制限があるのかもしれないが、私には左の大腰筋に何か感じる物があったので、ダイレクトにリリースをしながら、肩を10回程動かしてもらった。すると動きが楽になったのと同時に、今まで明確にならなかった左肩の痛みが、0ポジションあたりで肩峰端付近にある事が明確になった。最後に、肩峰端の痛みを直接リリースしたところ、肩の痛みは略治した。
この他にも、大腰筋は遠く離れた首の症状にも関係していた症例などもありました。大腰筋は、色々な筋痛と深い関係にあるのかもしれない。
大きな行事を控えて体調が悪くなる人。行事が終わって、ホッとしてから体調が悪くなる人。まさに人それぞれです。
孫の結婚式を控えている高齢の女性の患者さん。ここ数年大病を患い、何もかも自信が持てないようです。今回も、式には出てやりたいが、もし何かあって周りに迷惑をかけたらどうしよう。
そんな不安な事ばかりが浮かんできて、頭から離れないそうです。
2日程前から右肩の痛みを訴えておられましたが、昨晩は亡くなった母親が出てきて肩をさすってくれたそうです。
いずれにしても、MPSだと言う判断の元、右手の水かきの部分の圧痛の強かった、3指4指間と4指と5指間の骨間を丁寧にさぐってバイオイエローを2個貼りました。今日は、バイオを貼った事を強く意識させたいので、その上から白いテーピィングを小さく切って貼り付けました。
後は、リラックスをうながす目的で、百会中心にローラー鍼で気持ち良い程度に刺激を入れました。
症状が軽減しているのを確認して、冷水を二口程飲んでもらい、明日痛みが強くなれば、白いテープの上を押してやり、水を一口飲んで下さいと指示して終わりました。
今日の治療は、どちらかと言うとプラセボを強く発揮させ、症状が出た時の解除の方法をインプットした訳です。うまく行くかどうかは分りませんが、無事に式が終えられれば幸いです。
追記 無事痛みもなく式に出られたと連絡がありました。