過去に治療を行った症例報告です。治療部位毎に経緯などをまとめています。左側のカテゴリ選択から治療部位を選択できます。
50歳代の女性の患者さんが久しぶりに来院されました。
主訴は腰痛で、重い物を押したときに軽く痛みがでてから、だんだんと痛みが酷くなってきたそうです。急性の腰痛なので、治療としては難しくありませんが、全身が過敏化しています。
話を聞くところ、突然身内に不幸があり、あまりのショックで、不眠、突然声がでなくなると言うような症状が、痛み以外にもあると言う事でした。声のほうは、耳鼻科で検査されましたが異常なしで、様子を見ている間に1週間ばかりで治ったようです。
私は医師ではないので診断は出来ませんが、突然声がでなくなるような症状は、転換性障害と呼ばれるものに似ています。昔はヒステリーとも呼ばれていました。ストレスと深い関係があります。身体の症状がガス抜きになって、心身バランスを取っていると言う見かたもあるようです。
そして、この患者さんの痛みは、心身一如と言う観点から診た方が理にかなっているのではないかと言うお話しをさせていただきました。
患者さんも凄く納得が出来ると仰って、マイドクターを借りて帰られました。痛み以外の症状が辛い場合は、かかりつけの医師に相談するようにアドバイスしておきました。
・江原鍼灸整骨院.
・京都市中京区西ノ京御輿ケ岡町10番地
・電話 075-463-8639
・営業時間 9:00~12:00 16:00~19:00(水・土 午前中)
70歳代の女性の患者さん。
以前から、腰はよく痛くなったが、赤い―マークの脚の部分に初めて痛みが出たと言う事で来院されました。歩きながら、殿部の筋肉を押さえると痛みが和らぐそうです。中殿筋の後方線維などをリリースすると、訴えられる痛みがなくなりスムーズに歩く事が出来るようになりました。
この患者さんは、以前は京都に住んでおられたそうですが、今は離れた〇県にお住まいのようです。数日後には自宅に帰る予定だそうです。自宅近くにはいくつも医院や病院、治療院があるそうですが、どこへ行ってよいのか分からないと仰ります。こちらも、MPSを理解して治療してもらえる施設をしりませんから、どこへ行けばよいか聞かれても困りものです。
ですから、私の院に来られる患者さんには、痛みの事を少しでも理解してもらい、自分で治療戦略をたて易いようにする為に、MPS、トリガーポイント、筋痛、慢性痛症 etc についての資料をお渡しするのですが、資料の作り方が悪いのか?世間一般で行われている構造破綻モデルに基つく診断と、私の話す内容がかけ離れているためか?なかなか理解してもらう事ができません。もちろん、無理強いするつもりはありません。
この方も、地元に帰って痛みに襲われたらどうしようと考えると、不安でいっぱいになり、毎日あった便通がなくなったそうです。痛みをすぐに除痛できても、負のインパクトは、人によってはなかなか消える事はありません。
このような立場の患者さんでも、痛みについて知ろうとしない患者さんのほうが圧倒的に多いかもしません。
同じ事をお話しするのは、治療家として相当なエネルギーも要りますし、中には胡散臭く思う方もおられるでしょうが、MPSや慢性痛症の事が世間で少しでも理解されるように、コツコツと出来る範囲で地道にやっていくしかありません。
カテゴリ:症例報告 ,坐骨神経痛 脊柱管狭窄症
ebara / 2010年07月26日(月) 16:37
この時期、ぎっくり腰の患者さんが増えるように思います。
朝から、ぎっくり腰を起こした中年女性の患者さんが2名。大きな外力が加わった訳でもなく起きたぎっくり腰は、自覚症状がないだけで、機能が低下した筋肉がたくさんあり、触察すると感作している筋肉が、罹患筋以外にもあることがすぐにわかります。二人とも、一番辛いのは靴下を履く動作が困難。
一人目は鍼治療で対応させていただきました。前屈以外に側屈困難もあります。
院にある一番細い鍼を使い、多裂筋と腰腸肋筋の移行部と腰方形筋、殿筋部分は鍼施術。
細く短い鍼では大腰筋と腸骨筋は、治療が困難な為、仰向けで同筋肉を徒手治療しました。それでも、まだ運動制限のある部分は、等尺性収縮を利用して可動域を確保。
完全に除痛は出来ませんでしたが、治療後の動作や痛みの確認では合格点を出せるレベルです。
なるべくリバウンドが少ないように置鍼する時間を20~30分確保します。施術後、鍼の跡が痛ければ、何故そうなるかお話して、痛み止めを飲むようにアドバイスしますが、今までに鍼の跡が施術前よりも痛くなったという、患者さんからの報告は1回あっただけです。
どちらかと言うと、治療直後よりも次の日に楽になっているケースのほうが多いように思います。
もう一例は、徒手のみで対応。
仰向けで、大腰筋、腸骨筋を処理した時点で、動作時痛がかなり改善。今度はうつ伏せで、多裂筋と腰腸肋筋、殿筋部分を処理。
動作時痛を確認してもらうと、前屈時痛は取れましたが、今度は後屈時痛が辛いと訴えられます。この方は、問診時に立位より座位では疼痛がマシになりました。細かく診れば、ハムストリングを掴んで前屈してもらうと動作時痛が楽になります。そこで、ハムストリングを等尺性収縮を利用して緩めてみたところ、あらゆる動作が楽になって帰って貰う事ができました。
80歳代の女性の患者さん。もう随分長いおつきあいです。
すごく、自分の身体について繊細な方で、いつも検査の結果の評価を医師だけでなく、私に聞いてこられます。先日も来院された際に、2日程前に歩いていると心臓がビクッとなって、胸が痛くなったと仰ります。それが何回か続いて、心臓が止まらないか不安だとも仰ります。症状が出たのはその日だけだったそうで、特に息苦しいなどの症状はなかったそうです。
誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方のP133に不整脈とTPにつての記述があります。
患者さんの性格傾向や、色々な検査結果のデーターを聞かせてもらっているので、TP関連症状を疑い、大胸筋ではないですが赤いマークの部分。
胸骨と右肋骨下接合部、やや右よりを探ると、著名なジャンプサインがありました。そこを虚血圧迫法を用いて直接リリースしました。今日来院された際には、ジャンプサインも消え、訴えられた症状も一切でていないと言う報告を受けました。
もちろん、安易にTP,MPSと考えずに、気になる点があれば除外診断を優先してもらうのは、言うまでもありませんね。訴えられた症状がTP関連症状だったのか?
長年の信頼関係が効を奏した(プラセボ)かは分かりかねますが、備忘録として書き留めておきます。
カテゴリ:症例報告 ,自律神経失調症 その他の症状
ebara / 2010年07月08日(木) 12:17
70歳代の男性の患者さん。
この10ケ月の間で、軽い脳梗塞、顔面神経麻痺で二度の入院。主訴は脳梗塞で悪くなったほうとは反対の左肩の猛烈な痛みで、処方される痛み止めの薬も殆ど効果がない。
話を聞くと主訴は脳梗塞を患った後、去年の11月くらいから痛くなり、その間、病院でリハビリを週2~3回継続して受けていたそうでが、全くと言ってよい程効果が見られないので、1週間位前から治療にお見えになっています。左肩は拘縮が酷く、体幹から40度程くらいしか外転できない。他の動作も大きく制限されている。
いわゆるインピンジメント症候群+MPSと言うような病態でしょう。左肩の痛みは、脳梗塞で悪くなった方の手をかばっていたからか?
大きな病気を二回もして辛い思いもしたが、しかし周りには痛みや病気を理解されないストレスか?
痛みには色んな事が複雑に絡みあうものですから、単一的な原因を指摘はできない方が多いものであるが、患者さんが訴える痛みに耳を傾けて、理解してあげるだけでも患者さんは救われる事も多いものである。
肩の痛みは夜間痛も酷く、夜中に何度も目が覚める。肩周りは過敏性が増して、少し触るだけで痛みを訴えられる。話によると烏口突起付近から、関節内に注射針を入れ、針をグリグリ回しながら行う注射を3回したが、全く効果がなかったそうです。あまりの痛い注射に二度と注射は御免だと仰ります。
鍼も、注射のイメージが強く頑なに拒否されていましたが、あまりにも痛そうなので、徒手治療では効果が薄いと判断して、なんとか説得して一度だけ鍼治療を施しました。置鍼を10分くらいしていると、肩の痛みが指先まで広がり同じ姿勢が苦痛になってきたので、抜鍼。いわゆる五十肩では、同じ姿勢をしていると辛くなると言うのはよくある事です。その後、鍼をしたところを丁寧に徒手治療を加えました。
その日は、夕方まで鍼をした跡が少し痛かったが、その後は痛みがスーッと消えて夜間痛で目を覚ます事もなかったそうです。
今は初見時の肩の過敏性も無く、夜間痛で目が覚める事もなく、徒手での治療後は夕方まで楽に過ごせるそうです。最初の鍼の効果は今も持続しているように思えます。
私の個人的な見解では、インピンジメント症候群は構造の問題と言うよりも、どちらかと言えば棘下筋がうまく機能していない問題の方が大きいように思えます。
運動連鎖から、罹患筋を割り出して、単純な治療を加えただけで、効果があった訳だから痛みの本態はMPSと言えるでしょう。
左肩が痛いと言う60歳代の女性の患者さん。
前方挙上していくときに左肩に痛みがでるが、どこが痛いと厳密には言えないようである。仰臥位で寝てもらい、重力を出来るだ排除しても痛みに変化は見られない。夜間痛や関節の可動域に制限はない。
最近は、重心を考えて治療をしているので、頭位が重心より前に来る場合は、身体の前面を触る事が多いです。
この女性は、この1年間で2回お腹の開腹手術をされている。
膜の制限があるのかもしれないが、私には左の大腰筋に何か感じる物があったので、ダイレクトにリリースをしながら、肩を10回程動かしてもらった。すると動きが楽になったのと同時に、今まで明確にならなかった左肩の痛みが、0ポジションあたりで肩峰端付近にある事が明確になった。最後に、肩峰端の痛みを直接リリースしたところ、肩の痛みは略治した。
この他にも、大腰筋は遠く離れた首の症状にも関係していた症例などもありました。大腰筋は、色々な筋痛と深い関係にあるのかもしれない。
耳鳴りは、耳鼻科でもこれと言った治療方法がないまま、放置されてしまう場合が多いのではないでしょうか?
40歳代男性の患者さんが、奥歯を力強く噛みしめると、音が変化すると言って来院されました。噛みしめるときの筋肉、咬筋や側頭筋、などが大きく関与していると思われます。咬筋と側頭筋に鍼をして様子を見てもらいました。今日再来されましたが、耳鳴りは気にならない程になったそうです。顎二腹筋、斜角筋など側頸部の筋肉も重要でしょう。
もちろん、耳鳴りの多くは難治性のものが多く、特に聴力の低下を伴う耳鳴りには、あまり期待は出来ないかもしれません。ただ、リスクの殆どない治療なので、私のように噛みしめて音に変化があるようなタイプの耳鳴りでお困りの方は、一度試してみられてはいかがでしょうか?
カテゴリ:症例報告 ,自律神経失調症 その他の症状
ebara / 2010年06月17日(木) 12:10
物を持ち上げたときに、左の胸から背中に痛みが走り、2日間何も出来ず寝ていた患者さん。息を大きくすると痛みが走ります。念の為に肋骨付近のトラブルを疑いましたが、どうやらMPSのみのようでした。
手技の治療終了後、胸の方の痛みよりも、肩甲間部のほうに強い痛みが移動しました。肩関節の可動域も、まだまだ制限されています。
久しぶりに、左足の第4、5中足骨の最大圧痛とバイオイエローの効果を見て2個。左の孔最に1個追加。これで可動域は大きく改善しましたが、痛み自体は全て取りきる事が出来ませんでした。
本来、背部の痛みを膀胱系と考えると、小指の外側に反応点を求めるべきなのでしょうが、靴を履くときにバイオがこすれて痛む場合があるので、私は上記のようなやり方をします。
また、今回使用した孔最は、子午治療と言う意味あいもありますが、最初胸に痛みがあったので、痛みがあったほうの、胸を通る肺経を使ってみたら、さらに可動域が改善したと言う事です。
胸を通る経絡は他にもありますから、もっと丁寧にさぐればより良い効果が得られたかもしれません。ただし、最初の状態から考えれば合格点は出せそうです。
Aさん、70歳代男性。座っている姿勢から立ち上がろうとした時に右腰に痛み。腰を伸ばせない。
Bさん、60歳代男性。前かかがみになった時に右腰に痛み前屈困難。
Cさん、40歳代男性。長時間立っていると左脚が痺れてくる。
整形外科で背骨の歪みと骨棘が神経を刺激しているのが原因。働きすぎ、年のせいだから仕方ないと言われる。
AさんBさんは、罹患筋を特定して等尺性収縮を利用して治療。即座に完治といえるくらいに改善。どちらも、急性痛ですから、治療の押さえどころを間違えなければ、難しくない症例です。
問題はCさん。年間の休みが片手くらい。一日の睡眠が4時間程度、残りの殆どが立ち仕事。偏食傾向。症状が出てから時間が経過している事。オマケニ、医師によるレッテル。
小殿筋にジャンプサインがありました。罹患筋にアプローチした後に、仙腸関節を合わせるように矯正。上部腰椎の可動性の無いセグメントも矯正。
一通りMPSやTPの事、セルフメディケイトのやり方をお教えして終了。私は、生活習慣については、通常こちらから深入りする事はありません。ただ今回のケースは、治療だけで乗り越えられるか考えさせられた症例です。
私の院に来られる患者さんは、まずMPSの事を知りませんし、知ろうともしない方が殆どです。医師にヘルニアや脊柱管狭窄症、他の構造損傷と言うレッテルを貼られていられる方ばかりです。
http://junk2004.exblog.jp/13064961/
間欠性跛行(脊柱管狭窄症)は筋性疼痛。ほんとは、こう考えるのが一番理にかなってるのですけど。後は、患者さんがどのように判断してくれるかです。