過去に治療を行った症例報告です。治療部位毎に経緯などをまとめています。左側のカテゴリ選択から治療部位を選択できます。
3日前に自転車で曲がる際に、電柱に当たりかけそのまま転倒して右膝を痛められた60歳代の女性の患者さん。
痛めたのが休日であったため、救急病院へ行ってレントゲン検査の結果、骨に異常がないと言う診断。休み明けに、もう一度病院へ行ったところ骨に問題がないのだから、日にち薬で良くなるでしょうと痛み止めと湿布で様子をみるように言われたそうです。
この患者さんは、元々膝が痛くなると年に数回来院してくだます。膝の外側に痛みがあり、松葉杖を着かないと歩けない。体重がかからない状態(免荷)で膝を動かすには痛みがないと仰ります。
靭帯損傷は、私も経験した事がありますが、言葉では言い表せないほど安静時でも痛かった記憶があります。軟部組織の大きな損傷があれば、安静時でもかなりの痛みがあるように思えますから、組織の損傷を伴う急性の炎症と言う感じでもなさそうです。よく急性の炎症は冷やす、安静と言いますが、場合によっては積極的に血流を促すほうが、早くよくなる場合があります。
いずれにしても、骨折などの除外診断が済んでいますから、外傷をきっかけに起こったMPSと判断しました。
この患者さんは、鍼治療は今回が初めてです。最初の訴えは、外側広筋、腸径靭帯の膝上近く(大腿の前側)でしたが、そこに鍼をして、動ごかして様子を見てもらうと、今度は大腿二頭筋、ヒラメ筋付着部辺りに痛が移動したとおっしゃります。過剰刺激にならないよう気を配りながら、該当筋肉であろう部位に直接刺鍼をしました。
念の為、弾性包帯で軽く膝を固定をしておきました。そのほうが、患者さんの満足感もあがる事でしょうから、よい結果を引き出す為のスパイスのようなものです。治療後は、とても楽になったと言って、松葉杖なしで歩いて帰って行かれました。
・江原鍼灸整骨院. 電話 075-463-8639
・京都市中京区西ノ京御輿ケ岡町10番地
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30歳代の女性の患者さん。一年に一回くらいの頻度で来院されます。
いつもは腰ですが、今回は、右前腕の痺れと痛みが混在するような感じと言う訴えでした。念のために、深部反射や皮膚触覚、筋力検査をしましたが全てにおいて正常でしたので、MPSとして治療開始です。MPSの発生原因をこの時点で考えても仕方がないように思います。
私の場合、A筋、B筋、C筋が悪いと考えると、ためしにその筋肉に刺鍼をしてみます。感作があれば、該当筋肉をすべて刺鍼することが多いです。もちろん、患者さんが鍼刺激が好きなのか?嫌いなのか?を最優先に考慮しながら刺激量は考えます。
この患者さんの場合は、仕事や家事、子供を抱え頻繁に通院できませんから、広範囲に治療するほうが早いと考えました。
訴える症状→動診→罹患筋の推測→触診 簡単に書けばこんな感じで行います。トリガーポイントの関連痛パターンはあまり参考にしません。
斜角筋、棘下筋、小胸筋、頭頚板状筋、肩甲挙筋、僧房筋(特に上部)、菱形筋、前腕伸筋群
上記の筋肉に鍼治療、筋肉が緩んだところで、筋線維を割くように深部に指を入れる感じで、マッサージ的な手技を加えて様子を見てもらいました。
一週間後、二回目の治療に来られたときは随分マシになったけれど、少しまだ症状が残るということでしたので、前回より筋肉を絞り込んで、1寸3分1番の鍼で単刺。
経過が悪ければ都合の良いときに来てくださいと言ってから、昨日で二週間経ちましたので、経過は悪くないと思われます。急性期の場合は、治療法に拘らずさっさと痛みを除痛するに限ります。
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五ケ月程前に、右膝のガ足部分に正座から立ちあがろうとする時や、足を崩して座る時に痛みが出るようになり、私の院に通院されていた60歳代の女性の患者さんがおられました。
長年に渡り悩まされた腰痛が、私の院で行った一回の鍼治療で良くなった体験から、膝にも同じ効果を期待されていたようです。
三回鍼治療をしましたが、三日から四日程度の除痛効果しかなく、当然ながら患者さんには満足してもらう事ができませんでした。
整形外科を受診→レントゲン撮影→膝の内側の軟骨が減った事が痛みの原因と言う診断を下され、そのまま転医されました。
その日以来久しぶりにお見えになりましたので、その間の経過を聞かせていただきました。ヒアルロン酸注射を6回行い、インソールの作成。しかし、どれも期待した効果がなく、反対の膝や腰まで痛くなってきたので、また治療に来られたそうです。
医師には、正座の禁止を指導され、それを忠実に守った結果、五ケ月前は出来ていた正座が全くできなくなっていました。しきりに、内側の軟骨が軟骨がと仰ります。それだけ、画像診断によるインパクトは強烈ですし、世間で一般的に言われている、軟骨のすり減りが痛みの原因と思うのも仕方ありません。ましてや、白衣を着て立派な施設で診断を下す医師の言葉に、疑問を持つ方のほうが圧倒的に少ないのは言うまでもありません。
この患者さんには、MPSの事や、痛みと構造は分けて考える事。軟骨には痛みを感じる神経がないこと etc時間を割いて精一杯お話しながら、接して来たつもりです。また、治療に来ていただけると言う事はありがたい事ですが、更に構造異常の事を刷りこまれているでしょうから、もう完全に馬の耳に念仏でしょう。
私は構造と痛みが、全く関係がないと言っているのではありません。著しい構造の変化は、機能の失調を招き、永続的な痛みの要因になっても不思議ではありません。医師の診断、治療、アドバイスを忠実に守った挙句、痛みが改善しないだけでなく、膝の機能は失調し、QOLの低下を招いています。
私のような治療家のところに痛みを訴え来院される患者さんは、m_chiro先生のブログ記事にあるように、何であれMPSは混在する訳ですから、それを最初にどうにかする方法を取るべきだと思います。
http://mchiro.exblog.jp/15969601/
医師はMPSの教育を受けてないから仕方がないのでしょうか?鍼灸師や柔道整復師、コメディカルの面々もMPSの教育を受けていないのは同じだと思います。
臨床の現場では、習った事と違う事が起こる事など、医療に携わる者なら誰もが経験すると思います。まあ、そんな事もあるかとやり過ごすのか?その時にどう考え行動するかの差ではないでしょうか?高い医学書を買わなくても、簡単にネットで情報が手に入る時代です。結局、最後は診る方も診られる方も、人間力が試されるのかもしれませんね。
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70歳代の女性の患者さん。(ブログ掲載了承済み)人工透析を受けておられます。
病院まで歩いて行く途中に一度痛みで休むが休むと回復する。脊柱管狭窄症と呼ばれる病態そのものです。透析を受けている病院では、レントゲン検査の結果、骨と骨の間が狭くなって神経が圧迫されていると言われ、痛み止めが処方されるだけ。他にも持病を沢山抱えておられるので、投薬も限りがあるのでしょう。透析中に痛くなるとホットパックをもらったり、さすってやると痛みが和らぐ。もらった痛み止めは効果が無い。
殿筋の圧痛部への鍼治療には反応しますから、筋肉のスパズムが原因と考えるのが妥当ではないでしょうか?ただ、持病のためか?低体温、ビタミン、ミネラル不足も重なっているのでしょう。治療効果が長続きしないのも事実です。
そこで、テニスボールを使ったセルフマッサージを指導して、自宅でやってもらうようにしました。鍼の治療効果が、セルフマッサージと併用することで、持続する時間が長くなっているようです
カテゴリ:症例報告 ,坐骨神経痛 脊柱管狭窄症
ebara / 2011年04月09日(土) 08:40
見ず知らずの関東の治療家の先生から紹介いただき、来院されたAさん。
症状と経過は、約1ケ月前に自宅でストレッチ中に股関節に違和感があり、そのうち治るだろうと思っていながら日課のストレッチを継続していたら、腰まで痛くなり、右の股関節が胡座をかけなくなり、ズボンをはくのが困難。
横臥医で患側を上にして(股関節の前・後面が同時に処置できるので、時間が短縮できます。)大腰筋(股関節の屈曲に関係)、殿部の筋肉、縫工筋にアプローチ。最後まで残った股関節の外旋時痛は、梨状筋をもう一度刺鍼。施術後はすべての動作が無痛になったので経過を見てもらうことにしました。
高齢のBさんは、2月前から殿部と右下肢に疼痛が出始め整形外科を受診。
整形外科では坐骨神経痛と言う診断で、定番のブロック注射だけでなく、鍼治療もしてくれたようですが効果なく、最近では痛みのため眠りも浅く、朝早くに目覚めてしまうようになったそうです。そこで整形外科に行くのを辞め、ご紹介いただいた治療院に通院されていたようです。ご紹介くださった先生は鍼治療をされないので、患者さんが鍼治療を希望されたため、私の院を紹介してくださいました。
こちらの患者さんも、中殿筋の前方線維に発痛しているポイントがありました。施術後、院内を歩いてもらい様子を見てもらいましたが、痛みが随分楽になったと喜んでお帰りになりました。しばらくは加療が必要だとは思いますので、また経過を書ける機会があればUPしたいと思います。
今現在6回の鍼治療が終わった時点での様子です。
今では痛みの事を殆ど忘れている時間が多いそうで、気分も明るく毎日が過ごせていると言うお話をしてくださりました。
毎回、整形外科に行くたびに、レントゲン撮影、関節注射や痛み止めの飲み薬と湿布で経過観察。これ以上悪くなれば人工関節の手術と言われ、病院の待ち時間に、人工関節手術後の検診に来られていた何人もの患者さんから、手術は辞めた方が良いと言われ、途方に暮れ夜も眠れなかった何年間が何だったのか?
こうして良くなった今では考えてしまいますとも仰っていました。この方の紹介で来ていただいた患者さん。毎年ギックリ腰を何度かおこし、今まで数え切れないくらいの治療をうけて来たがスッキリせず、痛みの原因は、椎間板の狭小化や椎骨の変形が原因と言われているそうです。座りっぱなしの仕事で、夕方になると殿部からハムストリングにツッパリ感がでる。お風呂でマッサージをすると何とか楽になる。
結論から言うと、痛み学に基づいたお話しは無意味でした。
トリガーポイント・エクササイズにも参加くださりましたが、2回の治療で来られなくなりました。
痛みを知る!と言う事は自分の痛みと向き合い、治療戦略を立てる意味でも重要になるのですが。。。
前述の患者さんは、痛みと言うものをボンヤリでも理解されだしています。まあ、こう言う話はある意味、今までの患者さんの生きて来た歴史を否定する可能性もありますから、コツコツやっていくしかありません。
追記
前述の膝痛の患者さんは、前、後ろと色々探索しましたが、最終的に残ったのは赤いマークの部分でした。
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急性炎症の五大兆候を呈する男性の患者さんが見えられたのが先週の事です。
画像では分かりにくいかもしれませんが、右手首が赤く腫れあがって熱感がありました。
鍼でなんとかならないかと言う事でしたが、問診しても手を付いたりした覚えはないと言う事なので、かかりつけの医師のところで事情を話して、血液検査(除外診断)をするように勧めました。
こう言う時に一番最初に頭に浮かぶのは、偽痛風や関節リウマチではないでしょうか?
画像では分かりにくいですが、熱感があり赤く腫れあがます。特に4指、5指の間は腫れで骨間が分かりにくくなっています。
23年2月17日撮影 (画像掲載承諾済み)
血液検査の結果をお持ちになられましたが、CRP,血沈の数値が高値を示していました。
高値=即、リウマチと言う事ではありません。何か炎症があると言う事が分かっただけです。医師はリウマチの心配は無いでしょうと仰ったそうです。昨日来院された時は、腫れも痛みも無くなっていました。
23年2月21日撮影
ある患者さんは4軒目の病院でリウマチの確定診断が出来ました。上の記事の患者さんも、繰り返すようならば再検査が必要になるでしょう。MPSの治療は並行して行えば良いと思います。
30歳代後半の男性の患者さん。前回、来院された時は、腰から右脚の痛み痺れ。今回は、腰殿部痛と左脚の痺れ。
ペインクリニックでは、椎間板ヘルニアが原因であると診断を受けておられます。前回来院時は、足を引きずりながら来院されましたが、椎間板ヘルニアと痛みとの関係には大きな矛盾があること、筋痛と言う考え方で治療すればと提案させていただき、トリガーポイント鍼の効果も大きく、2回で治療終了しています。
今回、別件で来院された時に、前回は右脚でしたねと確認したところ、そうでしたか?と、すっかりどちらの脚だったか忘れてしまうくらい好調だったようです。今回も梨状筋の大転子付着部に鍼を刺したところ、関連痛が確認できました。小殿筋の最深部にも同じく、あ~そこそこ!と言うポイントが沢山見つかりました。施術後は、随分楽になったと仰って、笑顔で帰って行かれました。
赤い丸印のみ治療。脚の色は、訴えておられる痺れの部分。
カテゴリ:症例報告 ,首・腰の椎間板ヘルニア
ebara / 2011年02月08日(火) 11:17
30歳代の女性の患者さん。
元々腰痛はあったが、強烈な右殿部と下肢の痛みに襲われ、半年前にスベリ症の固定術の手術をされました。術後、強烈な痛みはなくなったようですが、少しづつ痛みは和らいでいるようですが、また、腰痛が酷くなったとのことで、はじめて来院されました。メスを入れた付近の多裂筋、腸骨稜の筋付着部、右の小殿筋を中心に鍼治療をしました。
治療後は、体が楽に動かせる事にビックリされていました。鍼の効果が数時間しか持たないのか、それを機に治っていくのかは分かりませんが、少なくとも悪い筋肉に目星を付けて、そこに鍼を打つ→症状が楽になる。こう言う単純な図式ですから、筋肉のトラブル(MPS)と言う考え方を中心に、治療戦略を立てていけばどうでしょうかとアドバイスしておきました。
ただ、大きな手術をした人に、このような考え方が受け入れられるかどうかは分かりません。散々、痛い目をして、医師にスベり症が原因とノーシーボをかけられている訳ですから。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS),トリガーポイント(TP),線維筋痛症(FM)と言うありふれた病態が世間一般に認知されなければ、このようなケースは後を絶ちません。
カテゴリ:症例報告 ,坐骨神経痛 脊柱管狭窄症
ebara / 2011年02月07日(月) 08:40
陸上を本格的やっている10代の女性の患者さん。主訴は、走り込みが増えて地面を蹴る最後の動作で痛みが出ると言うものです。
どこが痛いと言うと脛と甲の部分、圧痛が沢山あります。どうしたら痛いと言う目で診れば、ふくらはぎの筋肉が一番に上ってきます。もちろん、臀部や大腿の筋肉、体幹の筋肉、その機能の考察など行っていれば、いくら時間があってもキリがありませんから、単純に圧痛の酷い箇所から、前脛骨筋、長趾伸筋、長拇趾伸筋をメインに鍼治療しました。
相反抑制と言う考え方を用いれば、拮抗筋を緩めれば、ある程度は反対側も緩むはずですから、ふくらはぎの筋肉は今回はノータッチです。
昨日、来院された時の話では、痛みもなく部活の練習が出来たそうです。
今回の痛みの要因で、一番大きな問題は運動量だと思いますが、運動量やフォームの見直しは、こちらの手の届くところではありませんから、アドバイスだけと言う事になります。
自分がやっている治療が、何をしているかしっかりと把握できていれば、治療戦略の見直しも容易に出来ますね。私の例で言うと、自分が割り出した筋肉にしっかり鍼を打てたかどうか、しっかり打てたのに変化がなければ再考察、これのくり返しです。
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