二か月ほど前に、高校で陸上の短距離競技を行っている兄妹が通院されていました。
最初に来院された妹さんの主訴は、二か月近く続く左大腿四頭筋が全体にわたって痛むと言うものでした。
肉離れということではなく、練習を重ねる間に痛みが強くなり、痛みも広がり、思い切って走れない状態が続いていたそうです。
そこで、近くの整形外科を受診して、レントゲン検査で異常なし、筋肉の軽い炎症が原因と言う診断で、クラブを休んで様子を見ましょうと言われたそうです。
それからは、近くの接骨院で、電気治療とマッサージ的な手技を毎日のように受けていたそうですが、全く症状が良くならないので、インターネットで検索され、保護者に付き添われ来院されました。
私の見立てでは、大腿四頭筋全部の問題ではなく、腸骨筋と長内転筋との隙間に問題があるように感じました。
特殊なツールを使って、その部分を中心にトリガーポイント手技療法を加えました。その都度、症状が良化していることを確認していましたが、四回の治療で来られなくなりました。
お兄さんのほうは、一か月半以上続く右側のハムストリング全体にわたる痛みで、近くの整形外科を受診して、レントゲン検査で異常なし、筋肉が炎症を起こしているので、運動を休止して様子を見なさいと言う診断と指導だったそうです。
クラブもなかなか休めないので、妹さんと同じように近くの接骨院で、電気治療とマッサージ的な療法を行うも効果なし。
妹が良くなる様子を見て受診されました。私の見立てでは、坐骨結節から5センチ程下の辺りで、半膜様筋、半腱様筋の隙間に問題があるように思えました。
特殊なツールを使って、その部分を中心に、トリガーポイント手技療法を加えました。
お兄さんの方は、その日一度だけの治療で終わっていました。
PS お二人のその後の経過はわかりませんでしたが、先日、妹さんの方が別件で来院された際に、自分の痛みは四回の治療で寛解。お兄さんのほうも一回で寛解。
現在は、痛み無く陸上競技に打ち込めているというお話を聞くことができ、その後の経過を知ることができました。
どちらも、手技のみで治療して効果があった症例です。
しっかりと罹患筋、治療すべきトリガーポイントを処理すれば、上記のような痛みも数回で良くなる場合があります。
カテゴリ:その他の痛み
ebara / 2014年08月09日(土) 13:20
4月の下旬に、突然、麻痺のように両脚に力が入らくなり、自力で歩けず、その後、痙攣するような激しい痛みに襲われるようになり、整形外科を受診。MRIなど 諸々の検査をするも原因不明。
インターネットで検索、原因不明の症状は、筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)ではないかと思い、親御さんに連れられ、他府県から来院され た10代の男性の患者さん。
深部反射、筋力検査正常。痙攣するような痛みは、日中の限られた時間であること、一旦よくなっていたこと、除外診断 も 済んでいることから、治療を開始しました。
殿部から下腿までくまなく触診をしましたが、反応があるのは半腱様筋だけでし た。その筋の起始部付近、停止部付近に活性化したトリガーポイントがりましたので、そこに、1寸6分二番の鍼8本を使用して置鍼⇒手技。
次回の予約をされて帰られましたが、治療翌日から、痙攣や脱力、痛みが一切ないという連絡がありましたので、一回の治療で略治とした症例です。
カテゴリ:その他の痛み
ebara / 2014年05月23日(金) 08:07
Aさん(30歳代男性)は、約二年前から、座っていると臀部、坐骨、仙骨周辺が痛くなりはじめたそうです。
整形外科では、レントゲンと血液検査で異常なし、処方されたロキソニンも効果がなく、そのうち治るだろうと放置していたら、だんだん痛みがひどくなり、寝ていても痛みで目が覚めるようになって来たので、インターネットで検索され来院されました。
動作では体を反らす(後屈)と痛みが強くなります。
除外診断が済んでいることから、筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)と判断して、治療を開始しました。
1回目のトリガーポイント鍼治療の直後に、痛みも半分以下になり、体を反らすときの痛みも半減。
二回目に同じ治療を行ったところ、ほぼ痛みがなくなったので略治としました。
カテゴリ:その他の痛み
ebara / 2013年12月11日(水) 08:09
右顎の関節の痛みを訴え来院された40歳代前半の女性の患者さん。噛み合わせなどの治療をしたにもかかわらず、一向に顎の痛みは変わらず、インターネットで、当院のWEBサイトを見て来院してくださいました。(掲載許可承諾済み)
顎の咀嚼に関係する筋肉と首にトリガーポイント鍼を、一週間に一回の頻度で三回行いしました。前回の治療から一週間経過した昨日、再度治療に来てくださいました。
経過をお聞きすると、最初の痛み10⇒2と痛みが随分和らいだだけでなく、洗顔する時にトリガーポイント鍼を受けた右顎のラインが、左顎よりも腫が取れスッキリしていることを実感し、期待していなかった美容効果まで感じる。
おまけにパソコン作業が多く、夕方になると毎日のように酷い眼精疲労があったにもかかわらず、顎の治療をしだしてからは、眼精疲労に悩ませられる事はなくなったと言うお話しでした。
この患者さんに限らず、顎や顔面部へのトリガーポイント鍼療法で、目がすっきり見えるようになった。顎のラインが綺麗になった、お肌に張りが出たと仰る患者さんが多数おられます。
鍼で出来た小さな傷を修復する時に、コラーゲンやエラスチンが増えるのですから、美容に効果があるのも頷けます。
眼科で付く病名で多いのは眼精疲労だそうですが、そもそも原因はよくわかっていません。検査をしても、あきらかな眼の病気がなく、眼精疲労でお困りの方は、顔面部、頭部、頚部にできた活性化したトリガーポイントが深くかかわっているのかもしれません。
カテゴリ:その他の痛み
ebara / 2013年08月08日(木) 07:01
クラブ活動中に左足が攣って(大腿)、その場に倒れ込んだまま微動だにできず、友達数人に担がれて帰宅。安静にしても良くならず、動こううとしても足がすぐに攣るので、保護者の方に担ぎ込まれて来院された男子高校生の症例です。
股関節を経度屈曲位のまま身動きが取れません。
攣った反対の足のみで移動することもできません。
明確にここが痛いという表現もできず、足を伸ばそうとすると太もも全体が攣ると言う話です。
大量の汗とともにミネラルが放出され足が攣った可能性もありますが、最近足がやたらと攣るようになったことや、毎日バットの素振りをかなりの回数していること、転倒したわけでもなく、組織の損傷を伴うような所見は見当たりませんでしたので、原因を考えるよりも、まずは除痛を優先し治療をしました。
ベットに横になることも困難でしたので、少しでも動けるように、遠隔治療として骨間筋に鍼をしてみましたが、ほぼ無効でした。
それでも、どうにかベットに横臥できるようになったので、触診で一番スパズムを感じた、大腿筋膜張筋、中殿筋の前縁に置鍼をしました。
抜鍼後は自力歩行ができるまでに回復したので、ミネラルの補給目的でスポーツ飲料を薄めて飲む、お風呂でよく温まったあとに、鍼をした場所をよくストレッチすることを指導して終了。
翌日、念のため来院してもらいましたが、どの動作も問題なく行えるまでに回復していたので略治としました。
この時期は、クラブに入部したての子供たちの故障が目だつ時期です。一昔前よりも競技能力が求められるようになりましたから、高校生が150キロを超えるボールを投げる時代ですから、ついつい無理しがちです。運動量質、休養、食事 総合的に考えて取り組まないと、取り返しが付かない故障をしてしまう可能性もあります。
中年以降で足がよく攣る場合は、内臓疾患の可能性もありますから、繰り返すようであれば、専門医を受診してください。
カテゴリ:その他の痛み
ebara / 2013年05月13日(月) 07:53
三十代女性の患者さんが、左顎の痛みを訴えて来院されました。
大学病院、口腔外科での診断は異常なし、顎関節症候群と言う診断で経過観察だそうです。
口を開けるときだけ、閉めるときだけと限った動作で痛むわけではないそうで、ある一瞬だけ痛むようです。既往歴は頭痛、肩こり、疲れやすいetc
咀嚼に関する筋肉、後頭下筋群、頚部の筋肉から感作の強い場所を選び治療をしました。
先日二回目の治療に来られましたが、症状も10⇒2に改善したとのことです。
実際、鍼を打ってみての反応も、患者さんが仰るように初回より遥かに少なくなっていました。
大学病院で検査しても分からない痛みが、たった一回の鍼治療で大きく痛みが改善した症例です。
カテゴリ:その他の痛み
ebara / 2013年03月18日(月) 07:30
下腿の痛みを訴えて来院された高齢の男性の患者さん。
痛みは半年くらい前からあったそうで、脛骨(むこうスネ)に一直線にエレキバンが貼ってあります。
写真でお見せできませんが、かなりむくんでいました。医師にはなんと言われているのかと聞くと、脚気のようなものと言われているそうです。
脛骨前面には付着している筋肉はありませんから、脛骨前面の痛みは他から来ているというものです。関連圧痛という言葉は、MPS研究会の医師、山下先生の造語です。
施術方法を簡単に書くと、脛骨の内側縁から後脛骨筋に刺鍼→足裏に響く場所。腓腹筋の内側、外側の筋硬結。前脛骨筋から下腿骨間膜を貫き(一度に全体を緩める意味)刺鍼をしました。
先日、二回目の治療に来院してくださいましたが、むくみも随分減っていましたし、肝心の痛みも、8割は楽になったと言うお話しでした。
カテゴリ:その他の痛み
ebara / 2013年02月27日(水) 12:50
左胸に痛みを訴え来院された高齢の女性の患者さん。
思い当たるのは、1ケ月半くらい前に物を持ち上げようとした際に、左胸にピキッと痛みが走ったくらい、その後痛みが続いた訳では無く、最近になって、体を動かした時一瞬だけ、電気が走るような痛みがあるそうです。
骨折を疑うような所見も内科疾患の既往歴もありません。
動作時通を確認しましたが、特に痛みを誘発する動作はありません。患者さんが押さえる場所は、第7~8肋骨の間になりそうです。’(通常、乳頭ラインが第五肋骨になります)
経験上このようなケースは、脊柱の際の筋肉をゆるめて呼吸が楽に出来るように治療すれば経過が良い場合が多いものです。
この患者さんも、訴える場所は治療せず、脊柱傍らの筋肉にできたトリガーポイントを治療をして様子を見ていただきました。
除外診断が必要な疾患がないかどうか判断し、尚且つ安全に刺鍼を出来る場所を選んで治療しました。(ここを読まれ参考にされる方は、背部は充分に気をつけ治療にあたってください。)
今日は一週間ぶりに、二回目の治療に来院されましたが、経過を聞くと、この一週間は痛みもなく生活が出来たようです。
カテゴリ:その他の痛み
ebara / 2013年02月07日(木) 15:45
ある競技で全国大会に出場が決定している高校生です。
主訴は、肩関節前側の違和感と、競技を継続すると腕がだるくなり握力が無くなると言うものです。
病院の検査では、MRI画像の結果から胸郭出口症候群と診断されています。胸郭付近で、血管や神経が押さえつけられているから、と考えるようです。ヘルニアがあればそれが原因といわれるのでしょうか?
全国大会に出場するレベルですから、トレーナーやスポーツ整形との連携も充実しているようですが、指定された医療機関以外に行く事は禁止されているそうです。毎晩の帰宅も、夜10時~になるそうで、今回は学校に内緒で来院してくれました。トレーナの指導内容を聞かせてもらう機会も多いのですが、トレーニング方法は、痛くなるのは弱いから→丈夫で頑丈な筋肉を身につけると痛みが起こらない。このように考えメニューが作られているように思えて仕方ありません。もちろん、パフォーマンスを上げるためのトレーニングは必要でしょうが、私は痛みを取るトレーニングなど存在しないと考えますので、こう言うやり方に違和感を感じます。
普段、競技をしている体の使い方から、二つに分けて考え治療をしました。後日メールで、治療後は痛みやだるさもなく、運動が出来ていると報告がありました。
この状態がいつまで続くかわかりませんが、それまでのやり方で全く効果があがらないのですから、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)、トリガーポイントと言う考えを軸にすればよいと思います。
京都で、胸郭出口症候群の痛みやシビレでお困りの方に、トリガーポイント療法がお役に立てるかもしれません。
はっきりした原因もなく、頭頂付近(画像のピンクの部分)に暖簾が触れるだけでも痛みが走るので、医科を受診。医科では、後頭神経痛?ではないかと言われただけで、薬も検査も患部に触れられることもなく、しばらくしても痛みが続くなら、MRI検査でもしましょうと言われ、そのまま帰されたそうです。
ギックリ腰を起こした時に、私が行ったトリガーポイント鍼がよく効いたのを思い出して、頭の痛みにも効果がないかと来院された高齢の患者さん。詳しく聞くと、頭痛が起こる二日くらい前から、異様に首筋が凝り、その後、首の凝りがマシになった頃から頭痛が起こったそうです。
頭痛と言っても、表皮の痛みのようですが、念のためにレッドフラッグの取りこぼしがないように、問診や徒手検査は慎重に行いました。後屈してもらうと、右側の頚部の筋肉がうまく機能していませんでしたので、後頭下筋群を重点的に、最長筋、半棘筋、肩甲下筋もあわせて治療しました。その場で痛みは楽になりましたので、後頭神経痛ではなく、単なるMPSと思われる症例でした。(診断ではなく判断)
後頭神経痛で検索すると、脳神経外科のサイトでさえ、矛盾だらけと思えるような内容を羅列していますから、多くの患者さんは、頭の神経が押さえつけられているから痛む。それを疑う事もないでしょうね。手のみ数分の治療で取れる痛みなのに。。。