鍼灸が医療と言う広い枠組みの中で認知されないのは、質の高いエビデンスが乏しいからだと言われます。
わかりやすく言うと、科学的根拠が乏しいと言う事です。
エビデンスと言っても、下の図のようにレベルが1に向かうほど、信頼性が高くなります。
実は、動物実験で成功したと言うニュースを耳にしても、信頼度は下から二番目と低く、○○の健康食品を食べたら、難病が治ったというレベルと大きく変わりません。
しかし、動物実験で成功するからこそ、人体に用いる事が出来るわけですから、信頼度が低いから、即意味がないと捨て去る必要は無いと思います。
仮説を立てる⇒追試⇒反証を繰り返していけば、見えてくるものがあるはずです。
ダメならダメで、結果が分かったのであれば、次につながる事もあります。
鍼灸の場合は、地道に症例を積み上げることくらいしか出来ないのが現状です。
しかし、生理学的根拠がなくても、超音波エコーで観察し、白く組織が重責した部分や、動きが悪くなっている部分に鍼を打つと、非常に優れた除痛効果が得ることができた。etc
今まで、手先や鍼先の感覚でやっていたものが、可視化されることで、誰しもが簡単に出来るようになり、症例が積みあげることが出来ます。
うまくいけば、コホート研究のような、質の高いエビデンスが生まれる可能性があります。
現在、慢性痛には、薬物療法も万能でなく、これと言った決まり手はありません。
痛みの生理学は重要ですが、痛み自体が、まだまだわからないことが多く、安易に心や脳の問題で片付けられてしまえば、患者さんが良くなる機会損失になりかねません。
日本を代表する、痛み医療に力を入れている、慈恵医大病院ペインクリニックで、用いれられているIMS治療も、下記のように書かれています。
まず、IMSは、他の多くの侵襲的治療法と同様に、二重盲検比較試験が事実上できません。
また、治療対象が慢性の筋性痛であるため、無作為化も難し いのです。
したがって、いわゆるEvidence-based medicine(EBM)には極めてなりにくい治療法です。
さらに、IMSが対象として いる筋肉痛自体の原因が良く解明されておらず、したがって、IMSがなぜ有効なのかの説明がどうしても不明瞭です。
しかし、私が帰国した後、地道に続けてきたIMSの効能を実感した多くの方々−私が指導した後進たちや、何よりもIMSの治療を受けられた多くの患 者さん達−から、「IMSをもっと広く普及させ、地方でも受けられるようにしてほしい。」「技術を絶やすことなく伝えてほしい。」「科学的・実証的裏付け を集めてほしい」と強力にプッシュされてきました。
カテゴリ:鍼灸
ebara / 2015年08月13日(木) 14:25