右脚に力が入らないと訴え来院された90歳の男性の患者さん。
今でも、バイクに乗って毎日のように、畑の水をやりにいくそうです。共同の畑で、水汲み場から自分が借りている畑まで数十メートルを、水を入れたバケツを持って往復するそうです。
痛いのかですか?と聞くと痛みは無いと仰ります。耳のほうはかなり遠く、言葉のやりとりにも困る場合があります。
深部反射、触圧テスト、異常は見られません。MMTも全く問題はないですし、歩行にも問題はありませんが、訴えは力が入らないです。普段と違う何かしら違和感があるのでしょうね。
今日、三回目の治療にお見えになりましたが、症状は四分の三は軽減しマシになったと言う事でした。
念の為、もう一度、深部反射、触圧テスト、MMT を確認しましたが、前回同様異常は見られません。
結局、治療としては、小殿筋のジャンプサインのあるポイントを直接リリースしただけです。ここが、患者さんが訴える症状の原因なのかどうかわかりませんが、上記テストで異常が見当たらないので、早急に危険因子を考える必要もないと判断して治療をしました。
私が臨床の現場で大事にしている事は、当たり前す過ぎて書く必要もないかもしれませんが、まず目の前の患者さんが、自分が診れる範囲の病態かどうか?そして、治療においては、ちゃんと自分の意識の下で、毎回同じところを触診でき治療に応用できるかどうか?この部分は、第三者に間違いを指摘して貰えるので、感覚だけに頼る治療よりも自己消化できるので、私は重宝しています。
(注:感覚を重視される治療を否定している訳ではありません。)
きっちりやって効果がでないのか?
適当にやってて効果がでないのか?
この差はとてつもなく多きな差です。
ですから、毎回同じ事が出来るかどうかは、とても重要な事なのですが、人それぞれ肉付きも体型も違うので、言葉で言う程簡単な事ではありません。この患者さんの場合も、トリガーポイントと言う概念だけで説明できない病態です。小殿筋のジャンプサインは多くの人に見る事ができます。
頭蓋療法、操体法、etc ほっておいても治ったかもしれません。それでも、患者さんにしてみれば、何かやって貰った満足感が治癒に導く場合もあります。そう言う物が働いた症例なのかもしれません。