腱板と言うのは、肩を動かす筋肉である、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋で構成され、インナーマッスルとも呼ばれ肩の関節の安定性に深くかかわっています。
四つの筋肉の中で、最も傷みやすいのが棘上筋の腱です。
肩腱板損傷は40歳以上の男性に好発しますが、発症年齢のピークは60代と言われています。
損傷の原因としては、明らかな外傷によるものが半数、残りは明確な原因はなく日常生活動作のなかで断裂が起き加齢現象によっても変性します。
また、完全断裂と不全断裂とにわけられます。
症状は、運動時痛、夜間痛などがあります。
五十肩と異なるのは、関節拘縮と呼ばれるような関節の動きが悪くなることが少ないことです。
治療の方法は、転倒などの急性外傷で損傷した場合には三角巾で1〜2週間程度安静にします。
完全断裂部が自然治癒することはありませんが、痛みなどの症状は多くの場合保存療法で良くなります。
保存療法で良くならない場合は、損傷した肩腱板の縫合を直視下あるいは関節鏡視下で行われます。
腱板損傷自体は鍼では治りませんが、痛みは機能不全になった筋肉にトリガーポイント療法を行うことで充分良くなる可能性があります。
ただし、トリガーポイントの施術には、悪くなっている筋肉や腱を見分ける技術、関連痛の理解がないと的確な治療が行えません。
関連痛が生じると、痛みを感じているエリアの筋肉にも新たなトリガーポイントが発生し複雑な痛みの構図が出来上がります。
当院では、筋膜性疼痛症候群(MPS)、の考えに基づき悪くなっていると考えれる筋肉を見つけ出し、その中にできたトリガーポイントを施術します。
下の図のように、 赤いエリアが痛いと思う場合でも、実際は×のマークが痛みの発生源ですので、この部分の治療が必要です。このような現象を関連痛と呼びます。
【イラスト図出典:『Myofascial pain and Dysfunction The Trigger Point Manual』 より引用 】
ebara / 2014年10月03日(金) 15:52