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正座の時の痛み(痺れ)のメカニズムは、腰下肢痛に当てはめられるか? - 治療室日記

以前にも、正坐の時の痺れについて下の記事の中に記載しています。

http://www.ebara-acupuncture.com/archives/1415

神経障害における抹消性の過敏化

昨日、紹介した伊藤和憲先生が書かれた、痛み・鎮痛の基本としくみの中に、わかりやすく書かれています。

http://www.ebara-acupuncture.com/archives/1921

痛み・鎮痛の基本としくみ

P44引用開始

しびれを感じているとき、同時に痛みを感じることが多いことに気がつきます。

それは、なぜでしょう?

正座のあとのしびれを例に考えてみましょう。

神経はもともと神経細胞の細胞膜にあるポンプを使い、細胞内と細胞外の物質濃度を変化させることで電気を発生させています。

正座で神経線維が圧迫を受けると、神経に栄養を送っている血管も同時に圧迫されるため、一時的に神経細胞に栄養が送れなくなります。

すると。

神経細胞のエネルギー源であるATPの合成が妨げられて細胞内外の物質濃度を調整することができなくなり、電流の発生が抑制され、感覚が消失します。

一方、正座から立ち上がると、今まで圧迫されていた血管に再び血液が送られ、神経がATPを合成できるようになります。

その結果、神経細胞が正常化し、細胞内と細胞外の濃度を元に戻そうとしますが、濃度の差が著しいため、それを正常化しようとポンプが頻回に作動して濃度を調整します。

しかし、濃度が調整されるたびに電気が発生されるため、神経はかなりの頻度で異常興奮をおこし、しびれや痛みが起こるのです。

P44 引用終わり

小山なつ先生も、伊藤和憲先生も著書の中で書かれていると言う事は、生理学的な事実として、このような現象は起こるのでしょう。

では、この現象を椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症に当てはめる事が出来るのでしょうか?

ヘルニアの場合は、圧迫だけで起こるのではなく、神経根の炎症と考えられるようですから、上記のようなメカニズムとは違うように思えます。

脊柱管狭窄症は、骨性の神経圧迫、神経を栄養する血管の圧迫と考えられますが、何故か歩いていて痛みが出ても前屈すると瞬時に痛みは楽になる。

自転車ならどこまででも行ける。

にも関わらず、神経の圧迫を取り除く手術をしても、成績は芳しくない。

これまた、まったく違うように感じます。

文中にあるような圧迫が永続的に起これば、神経にダメージは起こるでしょう。

電流の発生が抑制され、感覚が消失します。

 

つまり、麻痺の事ですね。

様子を見ましょう。

とか悠長なことを言っている場合ではありません。

このような場合は、早く圧迫を取り除かないといけません。

もちろん、痛みはまだまだ分からない事だらけです。

しかし、ありふれた筋痛と言う病態が、痛みを診る者の多くの頭の中から欠落しているのは、事実ですね。

 

カテゴリ:痛み痺れ

ebara / 2011年07月05日(火) 15:10